旧平田市に住む私は、出雲や大社で飲み会がある時によくばたでんを利用します。通勤通学時間以外は1時間に1本程度運行され、出発や到着時間が数分遅れることは当たり前のローカルな私電です。2010年には地元出身の錦織良成氏が監督を務めた映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(主演:中井貴一)の舞台となり、当時はロケ地を巡る多くの観光客がばたでんを利用しました。その後はコロナ禍による観光客の激減もあり、6月28日の山陰中央新報朝刊には、親会社である一畑電気鉄道が6期連続の赤字という残念な記事が掲載されました。
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先日大社で飲み会があり、雲州平田駅から出雲大社前駅まで一畑電車を利用しました。雲州平田駅(松江方面)から出雲大社前駅へ向かうには、途中の川跡駅での乗り継ぎが必用です。電車が川跡駅に到着すると、いつもは向かいのホームで待っているはずの乗り継ぎの電車が見当たりません。当該電車の故障ということで、私を含め20名程度の乗客が川跡駅で1時間程度の足止めをくらいました。車両のトラブルは仕方がないとして、まずかったのは駅員の対応でした。乗客を安心させる気の利いたアナウンスは無く、時間を追う毎に乗客のフラストレーションが高まり、最後には怒号が飛び交う状況に。あたふたする駅員の対応を見ながら私は「ローカル線だから仕方ないか」と思ってしまいました。
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そんなばたでんですが、別の日に「へーっ」と感心させられることがありました。その日乗車したばたでんの乗客は30名程度。その内の約8割が観光客風で外国の方も数名乗車していました。川跡駅で乗り継いだのは1両編成のワンマン電車。ワンマンの場合、行先や次の駅を告げる車内アナウンスはあらかじめ録音したものが流されます。しかしこの日は出発前に運転手さんが自らマイクを持ち、「この電車は出雲大社前行ワンマン電車です。次の停車駅は高浜、高浜です。」と告げた後、同じ内容を英語でアナウンスしました。外国の方が乗車していたからだと思いますが、キャビンアテンダントの機内アナウンスのような流暢な英語に思わずカッコイイと拍手を送りたくなりました。おそらく20代の若い運転手さんでしたが、会社としての計画的な社員教育やリクルート活動の成果だと思います。
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JRが通っていない宍道湖の北岸を走り、マイカーを持たない学生の通学には欠かせないばたでん。雲州平田駅から電鉄出雲市駅まで(所要時間20分)の運賃は420円。平日の電鉄出雲市発の最終電車は23時前発と飲み会から帰るのにちょうど良い時間です。タクシーで帰ると6,000円以上かかる事を考えるとお財布に大変やさしい交通手段で、私にとっても無くてはならない存在です。
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頑張ればたでん!。私は一畑電車を応援しています。
